Kubernetes PodとNodeのコアな違いを理解する
Kubernetesは、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を自動化するための業界標準プラットフォームです。Kubernetesクラスタアーキテクチャの中核には、しばしば混同される2つの基本的な概念、つまりPodとNodeがあります。これらのコンポーネント間の違いを把握することは、効果的なクラスタ設計、トラブルシューティング、最適化のために不可欠です。
この記事では、PodとNodeのアーキテクチャ上の役割を明確に区分し、それぞれが何を表し、互いにどのように関連し、クラスタ環境内でアプリケーションが確実に信頼性高く効率的に実行されるためにどのように連携するかを掘り下げていきます。
Kubernetesクラスタアーキテクチャの概要
Kubernetesクラスタは、協調して動作する一連のマシン(物理または仮想)で構成されます。これらのマシンは、コントロールプレーン(クラスタの状態を管理する頭脳)とワーカーノード(実際のワークロードを実行する筋肉)に大別されます。PodとNodeは、この構造内で相互作用します。
- Node: コンピューティングリソースを提供する物理または仮想マシン。
- Pod: 1つ以上のコンテナをホストする、デプロイ可能な最小単位。
この階層構造—NodeがPodをホストし、Podがコンテナをホストする—を理解することが、Kubernetes習得の出発点です。
Kubernetes Node: コンピューティングパワーの基盤
KubernetesのNode(ワーカーマシンとも呼ばれる)は、アプリケーションの実行に必要なコンピューティングリソース—CPU、RAM、ネットワーク—を提供するマシンです。クラスタには少なくとも1つのNodeが必要ですが、本番環境では通常、冗長性とスケーラビリティのために多数のNodeが利用されます。
Nodeの主な責務
各Nodeは、コントロールプレーンと通信し、アプリケーションワークロードをホストするために不可欠なコンポーネントを実行します。
- Kubelet: 各Nodeで実行されるエージェントで、コントロールプレーンとの通信を担当します。PodSpecで記述されたコンテナが、そのNodeで実行されており、正常であることを保証します。
- コンテナランタイム: イメージのプルとコンテナの実行を担当するソフトウェア(例: Docker、containerd、CRI-O)。
- Kube-proxy: Node上でネットワークルールを維持し、Podとの内部および外部の通信を可能にします。
Nodeの表現に関する実践例
クラスタ内のNodeを検査するとき、Kubernetesが利用している基盤となるインフラストラクチャを確認しています。
kubectl get nodes
NAME STATUS ROLES AGE VERSION
worker-node-01 Ready <none> 2d1h v1.27.4
worker-node-02 Ready <none> 2d1h v1.27.4
重要なポイント: Nodeは、実行が発生するハードウェア/VMレイヤーです。
Kubernetes Pod: デプロイ可能な最小単位
Podは、Kubernetesにおけるデプロイの原子単位です。Pod自体はコンテナではなく、同じNode上に確実に共存し、リソースを共有する1つ以上のコンテナをラップするものです。
なぜ直接コンテナではなくPodなのか?
Kubernetesが個々のコンテナではなくPodを管理するのには、いくつかの重要な理由があります。
- 共有コンテキスト: 単一Pod内のすべてのコンテナは、同じネットワーク名前空間(IPアドレスとポート範囲)を共有し、
localhost経由で簡単に通信できます。 - 共有ストレージ: 同じPod内のコンテナは、同じマウントされたストレージボリュームにアクセスできます。
- ライフサイクル管理: KubernetesはPodを単一のエンティティとして扱います。Pod内のいずれかのコンテナが失敗した場合、KubernetesはPod全体の構造の再起動または再作成を処理します。
Podの構造
ほとんどの場合、Podには単一のプライマリアプリケーションコンテナが含まれます。しかし、セカンダリコンテナがプライマリコンテナを支援するサイドカーパターン(例: ロギングエージェント、サービスメッシュプロキシ)で頻繁に使用されます。
Pod定義の例(簡略化されたYAML)
以下のYAMLは、単一のNginxコンテナをラップするPodを定義しています。
apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
name: nginx-pod
spec:
containers:
- name: nginx-container
image: nginx:latest
ports:
- containerPort: 80
重要なポイント: Podは、アプリケーションコンテナの論理ホストであり、Nodeにスケジュールされる単位です。
コアな関係: スケジューリングと配置
PodとNodeの基本的な相互作用は、コントロールプレーンに存在するKubernetesスケジューラによって管理されます。
PodがNodeに配置される仕組み
- Podの作成: ユーザーがAPIサーバーにPod(またはPodを作成するDeploymentのような上位オブジェクト)のYAML定義を提出します。
- スケジューリングの決定: スケジューラは、リソース要求、制約、利用可能な容量に基づいて、そのPodを実行するのに最適なNodeを特定します。
- バインディング: Nodeが選択されると、Podはその特定のNodeにバインドされます。
- 実行: 割り当てられたNode上のKubeletは、新しいPodの割り当てを認識し、必要なイメージをプルしてコンテナを開始します。
重要な点: PodがNodeにスケジュールされると、Podが終了、恒久的にクラッシュ、またはNodeが障害を起こすまで、そのPodはそのNodeに留まります。Kubernetesは通常、実行中のPodをNode間で移行しません。
| 特徴 | Kubernetes Node | Kubernetes Pod |
|---|---|---|
| 役割 | 物理/仮想コンピューティングリソースを提供する。 | 1つ以上のアプリケーションコンテナを実行する。 |
| スコープ | クラスタインフラストラクチャレベル。 | アプリケーションワークロードレベル。 |
| スケジューリング単位 | スケジューラからPodを受け取る。 | Nodeにスケジュールされる単位。 |
| コンポーネント | Kubelet、コンテナランタイム、Kube-proxy。 | アプリケーションコンテナ、共有ボリューム、共有IP。 |
| 数量 | 通常、クラスタあたり数個から多数。 | ワークロードによっては数百または数千になる場合がある。 |
ベストプラクティスとトラブルシューティングの洞察
このアーキテクチャを理解することは、実践的なクラスタ管理に役立ちます。
リソース管理
- リソース要求/制限: Podスペックには常にリソースの
requestsとlimitsを定義してください。これにより、スケジューラはPodを十分な容量を持つNodeに正確にマッチさせることができ、リソース競合を防ぎます。 - Nodeプレッシャー: Nodeが過負荷(ディスク容量不足またはメモリ不足)になった場合、Kubeletはこの状態を報告します。Kubernetesは、安定性を維持するために、そのNodeからPodをエビクト(退去)することがあります。
高可用性(HA)
- 冗長性: HAを実現するには、DeploymentまたはStatefulSetによって管理されるPodの複数のコピー(レプリカ)を実行する必要があります。スケジューラは、これらのレプリカを異なるNodeに配置しようとすることで、1つのNodeの障害がアプリケーション全体を停止させないようにします。
トラブルシューティング
アプリケーションが起動しない場合:
- Podの状態を確認:
kubectl describe pod <pod-name>を使用します。「Events」セクションを見て、PodがどのNodeにスケジュールされたかを確認します。 - Nodeの状態を確認: Podが
Pendingのままスタックしている場合、問題は通常スケジューリング関連です(例: 要件を満たすNodeがない)。Podが実行中だが失敗している場合、Podが配置された特定のNodeのKubeletログを確認します。
結論
KubernetesのNodeは、Kubeletによって管理される実行環境とリソースを提供する物理または仮想マシンです。Podは、どのコードが実行され、どのようにそのコードがパッケージ化されるか(共有ストレージとネットワーキングと並んで)を定義する、抽象的で論理的なラッパーです。PodはNodeにスケジュールされ、Kubernetesでコンテナオーケストレーションを支える本質的な実行ペアを形成します。